2016年9月3日(土)、サイコスでは、事業会社で活躍されているゲストをお招きし、若手人材の育成・教育を目的とした「20代のためのマーケティング&キャリアアップセミナー(第1回)」を東京・丸の内で開催しました。本セミナーは、著名なゲストの方々とサイコス代表・青葉 哲郎とのトークセッション形式で進行しました。第1回目の今回は、「『アートビジネス』であなたの未来はどう変わるか?」「『ポケモンGO』であなたの未来はどう変わるか?」をテーマにした2部構成で、一流講師の皆さまとともにお話を進めました。
【プログラム】
第1部 (13~15時):「アートビジネス」であなたの未来はどう変わるか?
- 「20代のキャリアアップ」サイコス株式会社 代表取締役社長 青葉 哲郎
- ゲスト講師登壇
株式会社アマナ アートフォトプロジェクト 執行役員 上坂 真人氏
レオス・キャピタルワークス株式会社 シニア・アナリスト 栗岡 大介氏 - トークセッション
第2部 (17~19時):「ポケモンGO」であなたの未来はどう変わるか?
- 「20代のキャリアアップ」サイコス株式会社 代表取締役社長 青葉 哲郎
- ゲスト講師登壇
株式会社スマイルラボ(スクウェア・エニックスグループ)代表取締役社長 伊藤 隆博氏
株式会社ドミノ・ピザジャパン 執行役員CMO 富永 朋信氏 - トークセッション
<第1部・2部共通:「20代のキャリアアップ」>
■サイコス株式会社 代表取締役社長 青葉 哲郎
サイコス代表・青葉 哲郎が若手ビジネスパーソンに向けて、「20代で大事なこと」「価値を高める」をテーマにお話ししました。
「20代で大事なこと」
現代の20代は、“No1”ではなく“Only1”を求める「身の丈思考」。何がやりたいかわからず、仕事よりも家族や趣味が大切、そんな人が増えているのではないでしょうか。しかし、若いうちに何となく過ごしてしまうと、将来スキルがなく、必要とされないビジネスパーソンになってしまうリスクが高まります。そうならないために、早いうちに「よい目標」を持つことが大切。ただし、よい目標は自分が求めていることやどんな人生を過ごしたいかによって決まります。しっかりとした目標を持ち、自分でハンドルを握って、迷走しない人生を送ってください。
「価値を高める」
これからは、海外からの安い労働力やロボットなど、競争相手は日本人だけではなくなります。商品にも差別化した提供価値があるように、自分の価値はどこにあり、どう選ばれるのか、もっとシビアに考える必要が出てきます。海外では、「LIFE IS SHORT」という言葉をよく耳にしますが、日本人にはあまり根付いていない言葉かもしれません。10年後、20年後に社会から求められる人材になるため、そして楽しい人生を送るために、これからの人生を考えてください。
▲サイコス株式会社 代表取締役社長 青葉 哲郎
<第1部:「アートビジネス」であなたの未来はどう変わるか?>
第1部では、株式会社アマナ執行役員の上坂 真人氏と、レオス・キャピタルワークス株式会社シニア・アナリストの栗岡 大介氏をお招きし、ご自身のご経歴、20代へのメッセージ、そして「アートビジネス」について、語っていただきました。
■株式会社アマナ アートフォトプロジェクト 執行役員 上坂 真人氏
上坂氏は、朝日新聞、マガジンハウスなどのメディア業界に41年間従事してきました。現在は、ビジュアルコミュニケーション事業を展開するアマナで執行役員を勤められています。
日本にアートは根付いていない、という上坂氏。欧米では、多くの企業がアートを保有しており、インテリアとしての側面と、投資対象としての側面を持ち合わせています。アートは、人の心を豊かにし、人の心を刺激するもの。日本にも、西野壮平氏や濱田祐史氏などの世界で活躍する若い写真家がいるにも関わらず、ほとんど知られていません。また、日本は、美術館へ行く人口は世界トップですが、購入する人はアメリカの10分の1以下というのが現状です。
世界的に見ると、アートマーケットは成長しており、2014年は6.7兆円と2009年比で倍増しています。日本企業でも、パナソニックの「LUMIX MEETS JAPANESE PHOTOGRAPHERS」(パリの写真展)や、セイコーウオッチの「Grand Seiko Avant-garde」など、アートをビジネスに取り入れる事例が増えてきています。上坂氏は、「国際化時代のビジネスパーソンにとって、そして企業にとって、アートは必須科目です。 日本でもアートへの親しみが増し、ビジネスとして取り上げていく人が増えることを期待しています」と話してくれました。
▲株式会社アマナ アートフォトプロジェクト 執行役員 上坂 真人氏
■レオス・キャピタルワークス株式会社 シニア・アナリスト 栗岡 大介氏
現在、投資運用のレオス・キャピタルワークスでシニア・アナリストとして勤務している栗岡氏。若いころは金融に興味がなかったそうですが、アメリカNYで社会学の勉強をしていた際に、リーマン・ショックを経験。金融=夢を踏み潰すものというイメージが強くなり、どんな悪い人がいるのか見てみようと考えて金融業界に飛び込みました。
何事もとにかくやってみることが重要で、特に21世紀型社会では、PDCAではなくOODAが有効だと話す栗岡氏。OODAとは、孫子の兵法をベースにアメリカ軍が作った戦略だそうです。
- Observe 観察する
- Orient 方向性を決める
- Decide 決定する
- Act 実行する
このOODA戦略は、「シン・ゴジラ」でも実践されていて、「ゴジラの特性を調べる、方向性を決める、決定して実行に移す」ということをしています。
アートについては、ご両親がデザインに携わっていることもあり、子どものころからアートが身近な存在なのだとか。日本人は、美術品は「鑑賞するもの」と思っている人が多いが、自分は「作るもの、集めるもの」というイメージが大きい、と話します。また、「アートは儲かるのですか?」とよく聞かれるそう。「儲け」の語源は、源氏物語の「まうけ」からきていて、「準備・支度」や「ごちそう・もてなし」という意味です。つまり、アートにおける儲けは、金銭的な利益を追求することだけでなく、居住空間を整え、よい町、よい国をつくるということが、最大の「儲け」であると思っています、と栗岡氏は語ります。
▲レオス・キャピタルワークス株式会社 シニア・アナリスト 栗岡 大介氏
<第2部:「ポケモンGO」であなたの未来はどう変わるか?>
第2部では、株式会社スマイルラボ(スクウェア・エニックスグループ)代表取締役社長の伊藤 隆博氏と、株式会社ドミノ・ピザジャパン執行役員の富永 朋信氏をお招きし、第1部と同様、ご自身のご経歴、20代へのメッセージ、そして「ポケモンGO」や今後のゲームの展望について、熱く語っていただきました。
■株式会社スマイルラボ(スクウェア・エニックスグループ)代表取締役社長 伊藤 隆博氏
伊藤氏は、バーチャルワールド(アバター)サービスを成功させた日本初の会社「スマイルラボ」の代表取締役社長を務めています。同社は、スクウェア・エニックス・ホールディングスからの出資により、2008年に創業。バーチャルワールド、農園ゲームなど、企画開発の中心指揮を伊藤氏が執っています。
最先端のITサービスを作るためには、「とにかく、1ユーザーとして何でもプレイしてみること」という伊藤氏。雑誌やWebニュースで知ることも良いけど、実際にプレイしてランキング上位になってみたり、有料機能もお金を支払って、しばらくやってみる、など体験が重要です。その上で、「どういう開発をしているのか?」を想像して分析してみる。おいしいケーキを作る人は、食べ歩き、どう作るか?を学ぶ。それと似ていると思います、と語りました。「今流行っているものの先に、さらに次に流行るものがあるので、とにかく、流行っているものがあれば、まずやってみる。」というメッセージを、20代の参加者に向けて贈りました。
また、これからはAIの時代。最近、AIの技術を取り入れたサービスを作るために勉強していて、第一人者にも話を聞きに行っています、という伊藤氏。はじめはどういう意味かも分からなかったが、いつの間にかわかるようになっていた、この技術を使った次のビジネスを考えています、と話してくれました。
▲株式会社スマイルラボ(スクウェア・エニックスグループ)代表取締役社長 伊藤 隆博氏
■株式会社ドミノ・ピザジャパン 執行役員CMO 富永 朋信氏
富永氏は、世界で12,000店の店舗展開をしているドミノ・ピザの日本法人で、国内チェーンを運営する「ドミノ・ピザジャパン」において、CMO(チーフマーケティングオフィサー)を務め、同社のマーケティングの指揮を執っています。コカ・コーラやウォルマート(西友)でもマーケターとして活躍されてきた富永氏。マーケティングにおける「信ずるところ」として、「鏡をみるな」「面白さ>正しさ」「びっくり、なっとく」の3点を心がけているといいます。
「鏡をみるな」
鏡を見ている自分はキリっとした顔になっていて、鏡を見ていない時の普段の自分を見ることはできない。それはマーケティングも同様で、良い面ばかり見てしまい、本当の姿が見えていないことが多い。本質は何かを見極めることが重要である。
「面白さ>正しさ」
正しいことを伝えても、人は動かない。面白いと感じたときに人は動く。
「びっくり、なっとく」
消費者に興味をもってもらうためには“驚き”が必要。ただ、驚きだけでは人は動かない。そこに“納得”が加わることで、人は動く。「びっくり、なっとく」のコンビネーションで、マーケティングコミュニケーションは成り立っている。
▲株式会社ドミノ・ピザジャパン 執行役員CMO 富永 朋信氏
<第2部トークセッション(伊藤氏、富永氏、青葉)>
青葉:2016年7月22日、ポケモンGOがリリースされました。GPSで位置情報を取得し、実世界にポケモンが出現すると話題になり、世界的なブームとなりました。国内で初めてポケモンGOとコラボしたマクドナルドは、2016年7月の売上昨対26.6%増。ポケモンがたくさん出没するといわれる「錦糸公園」の向かいにあるショッピングセンター「オリナス」では、7月22日~8月31日までの来館数が急増しているようです。
富永氏:「なぜはまるのか」と考えた時に、最も大きな要因は“同調効果”でしょう。また、家から会社までの通勤時間にできるゲームとして、隙間時間を狙ったことも、大きな要因だと考えられます。また、近年の課題であるO2O(オンライントゥオフライン)の環境を作り出すためには、非常によい環境整備になったのではないでしょうか。都合がよい時に、消費者にオンラインでいてもらうことは難しいとされています。しかし、ポケモンGOは移動時にアプリをONにしている人が多いので、新しいビジネス機会につながる可能性を秘めています。
伊藤氏:このゲームは“ゲームらしさ”がない。ネット上では「AKBGO」や「ドラクエGO」などを切望する声も上がっています。やはりこのゲームは、“ポケモン”だったから成功したと考えるのが正しいと思います。
富永氏:そもそもポケモンGOは“成功した”と言ってよいのでしょうか。確かに、ポケモンGOのダウンロード数は多く、販売元のナイアンテック(Niantic)の名前も知れたということを考えれば、成功したと考えられますが、継続したブームにはなりにくいかもしれない。
伊藤氏:そうはいっても、ナイアンテックにとっては、実際の場所を使った“ポケストップ”(ポケモンGO内に出てくるゲームを進める上で重要なアイテムを取得することができるスポットのこと)を、大量につくったことが資産になりました。また、ユーザー情報を取得したという点においても、成功したといえそうです。
青葉:いずれにしても、大きな社会現象となり「ポケノミクス」と呼ばれる言葉も誕生するほど話題になりました。マクドナルドに加えて、TOHOシネマ、ソフトバンクでもアライアンスが決まっています。瞬間的ではあったかもしれませんが、高い集客力は、マーケティングや広告の効果に一石を投じたのではないかと思います。
以上で、第1回「20代のためのマーケティング&キャリアアップセミナー」のセミナーレポートを終了いたします。
末筆ではございますが、皆さまのお陰をもちまして、予定参加人数を上回る多くの方々にご参加いただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
なお、本セミナーは、9月22日(木・祝)にもテーマを変えて開催いたします。
22日も一流講師をお呼びし、学びと刺激のある内容が展開されます。(講師:リクルート、日産自動車)
マーケティングやキャリアアップに興味のある20代の方は、ぜひご参加ください。
(お席に空きがある場合、30代も相談可)
【セミナー詳細はこちら】http://www.saiqos.co.jp/news/2016/0815/
▲セミナー後の和やかな懇親会風景